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 本コーナーは、登録団体の活動拠点にお邪魔して、団体発足の経緯や日常活動、苦労話や達成感そして今後の夢などについて取材したことをインタビュー形式で紹介するものです。同じ場所で活動していても他団体の事は意外と解らないものです。ざっくばらんにお互いを知り、コラボレーション(協働)のキッカケになれば幸いです。

 
 筆者は、東北南部の田園地帯で幼少時代を過ごしましたが、当時ホタルは夏の名物詩でした。日本が高度成長期を迎える前でしたが、夏の夜、カボチャや烏瓜の中身をくり抜いてロウソクを立て、遊び仲間と川の草叢に光るホタルを捕って蚊帳の中に放して眠りについたものでした。今から思えば実にロマンチックなひとときを過ごしていたものです。ホタルは農薬を使い始めてから激減しましたが、そのような古き良き時代と言いますか、環境に優しい流山を復活させようと頑張っている「NPO法人 NPOホタル野」を今回は取材しました。場所は、春にホタルの幼虫を放流し、夏にホタルを鑑賞し、秋に無農薬米を収穫している新川耕地の田んぼです。ちょうど台風で壊れたビニールハウスを全面修復している最中でしたが、前川 利夫理事長にお話しを伺いました。

‥‥先ずは、「NPO法人 NPOホタル野」が発足したキッカケは何ですか?。 

 約20年近く前ですが、私が居住する駒木台には調整池があり、白鳩や野兎の姿を日常的に見ることができました。然しながら、隣接する柏の葉の開発が進むにつれて土砂が流れ込んできたりして、動植物には住みにくい環境となってきました。そこで、自治会内で元の環境を取り戻そうと調整池の清掃・整備に約30名で着手したのがキッカケです。
 本活動を通して、自然に優しい住みやすい環境について考えるようになり、その象徴としてホタルの保護・育成と復活・再生を取り上げることにしました。8年前の平成16年の1月にNPO法人として設立し、現在に至っています。

‥‥現在の活動内容についてご紹介ください。
 
  写真をクリックしてスライドショーないし拡大画像にてご覧ください。

 ホタルが生育できる水辺や自然・環境を取り戻すために様々な活動を行っています。活動はここ新川耕地を拠点とし、米作りやホタルの放流から鑑賞会、ビニールハウス内での夏の夜の講座などです。
 先ず、ホタルのための無農薬栽培の米作りですが、2反半を地主さんから借りて農薬・除草剤を一切使わないで米作りをします。会員や市民、学生が人力で草取りをする安全安心の健全な田んぼで、2年前からは「不耕地・冬季湛水農法」を取り入れています。田んぼを耕さず、冬場も水を貯めて置く農法で、生きものがいっぱいの稲作です。

 今年は、コシヒカリの白米、もみ米の黒米など450kgを収穫出来ました。黒米は秦の始皇帝が好んだことから「皇帝米」とも呼ばれ、鉄分、カリウム、カルシウムを含む健康食品です。白米に若干の黒米を混ぜて食べます。
 また、0.5反は「田んぼビオトープ」として野生生物が生育する豊かな自然環境空間を構築、維持しています。
  ホタルの保護・育成ですが、「幼虫の飼育ボランティア」「幼虫の放流」「鑑賞会」「出前講座」などを行っています。他には、「田んぼの生きもの調査」、「ホタルのえさになる貝の調査」、「水質検査」、「竹炭焼き」なども行っています。

‥‥ホタルの保護と復活・再生を目指す活動について詳しくご説明ください。

 
先ず、ホタルの一生についてですが、ホタルの成虫は7~10日、体の内側にある発光器で光を発しながら飛び回り交尾します。光るのはオスとメスがうまく出会えるように出す信号の役目です。交尾後7日くらいで産卵、1ケ月後の9月初旬から幼虫が誕生します。幼虫はその後9~10ケ月を水中で暮らし、5~6月に陸に上がり、土の中でサナギになり7月頃地表に出て飛び回ります。尚、水中で幼虫が食べるのは、タニシ、サカマキガイ、モノアラガイなどの貝類です。
 
 日本中どこでも見られたホタルが見れなくなったのは、環境が破壊され川や池の水がひどく汚れてしまい、水辺がごみ溜めみたいになってからです。それに輪をかけたのは農薬です。新川耕地では昭和61年から平成10年までの13年間にわたり農薬の空中散布が行なわれ、ホタルはすっかり消えてしまいました。

 それから10年が過ぎ、ホタルの本格的な復活を期待して、様々な活動を行っています。毎年10月頃に翌年5月に放流するまで幼虫を育てる「ホタルの子育てボランティア説明会」を実施しますが、新川耕地で生まれたホタルの成虫を捕獲し、産卵・ふ化させて幼虫を育てます。ボランティアには毎年50組以上の市民が参加し、ヘイケボタルの子育てに取り組みます。ホタルの幼虫は成虫と同じ夜行性ですので、自然界ではめったにその姿を見れません。幼虫の飼育は子ども達にとって貴重な体験となります。育てた幼虫はゴールディンウィークの頃に「田んぼビオトープ」に返します。
 メインイベントの「ホタルの鑑賞会」は毎年7月末~8月初めに2日間に亘って行いますが、計800名前後の方が参加して夏の夜のホタルの舞いを堪能して貰っています。
 
 また、ホタルの生育が確認されている流山市内7ケ所(運河界隈、クリーンセンター付近など)を中心に飛翔数、天候、気温、湿度などの関係について調査を行なったり、小学校での出前講座を実施しています。出前講座は、ビオトープの調査、ホタルの幼虫の観察、発表会などを視察・指導します。勉強している時の子ども達の眼の輝きに触れられることが出来るので、楽しみにしている行事の一つです。  
ホタルの幼虫 ホタルの放流
(幼虫返し)  5月
ホタルの出前講座
(7~8月)
ホタル観賞会
(7~8月)
子育てポランティア説明会(10月)
幼虫は脱皮すると真っ白になります。また、夜に水の中で光ります。 ヘイケボタルの幼虫を田んぼへ返します。年々参加者が増え今は約300名が参加します ビオトープの調査、幼虫の観察、発表会を視察・指導します。 2日間に亘って鑑賞会を行いますが、子ども達は手の上にホタルを乗せたり大はしゃぎです。ら ヘイケボタルの幼虫とえさのタニシ、飼育マニュアル、飼育用具1式をお渡しします。

‥‥今後の方向性についてお話ください。

 今一番の悩みは会員の高齢化と活動資金の不足です。ホタルが本格的に戻ってきて環境にやさしく住みやすい流山を築くのは正にこれからですが、現実には核になって活動する会員が高齢化して世代交代が上手く進んでいないのが実態です。田植えや草取り、稲刈りなどの無農薬米作りを学生・生徒と一緒に共同体験したり、出前教室などで啓蒙・啓発に努めていますが、早くその成果が出て本活動に参加して欲しいと思っています。幸い、ホタルの子育てボランティアや放流、鑑賞会への参加者は着実に増えていますので、今後に期待したいと思っています。 無農薬田んぼで米作りをして生産の喜びを味わいたい方、ホタルが見れなくなった環境を憂えている方、ホタルが不思議な生き物だと思っている方は、是非私たちを訪ねてきてください。

‥ 最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

 当団体がNPO法人として設立して間もなく8年になります。そこで、今般、ホタルに関する調査・研究や自然と環境との関連、今までの活動を総合的に振り返って1冊の本を発行することにしました。PDCAサイクルではないですが、今後の新たな展開に向けて過去の歴史を振り返るのは大事なことと思い作成しました。タイトルは、「聞き書き ホタルと自然ながれやま今昔」(A5 160頁)です。
 流山に70~80年住み、子どもの時よりホタルを見続けてきたお年寄りに直接伺った貴重なお話しも盛り込んでいます。是非お手に取ってお読みいたくともに忌憚のないご感想・ご意見をお聞かせいただきたいと思います。
 また、12/17(土) 14:00~16:30の予定で、発刊記念講演会を流山市生涯学習センターにて行いますので、ご参加をお願い致します。  講演会チラシ「ホタルと自然 ながれやま今昔」(PDF)
 
〔編集後記〕
 本取材を通じて私の頭には絶えず2つのシーンがよぎっていました。一つは、子どものときにホタル狩りして蚊帳の中に放して戯れたこと、2つ目はサラリーマン時代に京都大原の山荘で泊まり込みの研修を行なった時に隣接する池で眩いほどの光を放っていた無数のゲンジボタルです。夏の静寂な山裾でそれは見事でした。そして、関東を生活拠点としている私には嘗て見たことのない大きなホタルに感動しました。
 都会の喧騒のなかでともすれば忘れがちになりますが、ホタルの育成・復活を通じてもNPOホタル野の皆さんは人間にとって大切な自然と環境の問題に真正面から立ち向かい果敢にチャレンジしています。そのために無農薬の米作りまで実施しています。
 農家に生まれた私は米作りの重労働・大変さをよく解っているつもりです。自分には務まりそうにないと父や兄に任せ、背を向けて都会に出てきたのが実態で、そんな自分が時に恥ずかしくなります。
 NPOホタル野の皆さんには是非本活動を広げていただき、ホタル(蛍、穂垂)が舞踊る美しい流山を実現してほしいと願わざるを得ません。私も自分のできる分野で支援させていただくつもりです。(主筆:富岡 恒雄)
 
【これまでに紹介した「今月の顔」】
第18回(平成23年10月)「NPO法人南天の木」 第17回(平成23年9月)「NPO法人とうかつ経営支援グループ
第16回(平成23年8月)「健康を育てる会・流山」 第15回(平成23年7月)「NPO法人C&Cクラブ」
第14回(平成23年6月)「流山市子ども会育成連絡協議会」 第13回(平成23年5月)「NPO防災対策サポート」
第12回(平成23年3月)「NPO野草フォトクラブ なずな」 第11回(平成23年2月)「NPO法人流山おやこ劇場」
第10回(平成23年1月)「トランプサイズの油絵」 第9回(平成22年12月)「生涯学習サロンぴこっと」
第8回(平成22年11月)「北総歩こう会」和田武年氏 第7回(平成22年10月)「ママカフェお母さん塾」
第6回(平成22年9月)「ビデオ未来ひろば」 第5回(平成22年8月)「流山パートナーシップ」
第4回(平成22年7月)「グリーンケア流山」 第3回(平成22年6月)「NPO法人市民助け合いネット」
第2回(平成22年5月)「NPO法人流山高齢者安心ネット 第1回(平成22年4月)「温暖化防止ながれやま」
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